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***機密保持契約と契約書について***
(1)機密保持契約締結時のポイント
ソフトウエア会社にとって機密保持には注意すべき2つの点があります。1つは委託者の観点から見た機密保持であり、もう1つは外注先に対して開示者側の機密をどのように保持するかという点である。従って、機密保持契約の内容も、上記二つの観点から、定義付ける必要があります。
1)開示者の機密保持
システム開発を受託し、その機密保持の取り扱いについての範囲を明確にすべき際には下記事項に対し、十分な検討が必要です。
①機密保持の目的
②機密の範囲
③機密保持の内容
a開示できる人の範囲
b下請けの問題
c管理方法
d無断の複製・廃棄禁止、返却義務
e従業員との契約
④適用除外事項
⑤機密保持の期間
⑥損害発生時の賠償範囲と賠償金額の取決め
⑦協議事項
①機密保持の目的
開示者から機密資料を一方的に預かる場合と共同開発のようなケースとでは機密保持契約の内容も異なります。従って、まず機密保持の目的を明確にしておく必要があります。
②機密の範囲
機密保持契約でしばしば「機密の範囲」の定義で問題が発生する。機密保持契約というのは、一定の書類とかデータといった対象物が明らかな場合には有効ですが、作業を通じて知り得た相手の事項といった漠然としたものや契約の存在自体については、いくら細かく取り決めたとしてもあまり実効性は望めません。
ですから、機密の範囲はできる限り具体的にしておくべきです。「機密」の印を押印したものや機密文書一覧表に掲げた文書を機密文書として取り扱うといった方法、機密資料については「機密資料受領書」を交付するといった方法などがあります。また、場合によっては、資料名を列記し、別に機密保持契約を締結するような方法もあります。何から何まですべてが漠然と機密ということでは、本来の目的が達せられなくなってしまう為、意図に応じて、明示的にその定義を決めましょう。
③機密保持の内容
a 開示者の範囲
ここでは、単に「第三者には機密を開示しない」といった程度にとどめるのか、「指定した担当者以外にはその機密資料を取り扱わせてならない」といったように厳しく取り決めるのかを検討します。
b 下請けの問題
特定の業務について一切下請けを禁止するのか、下請けに対して必要な機密保持の措置をとらせればよいのかなどを検討します。
c 管理方法
施錠のできる場所に保管する、担当者以外が立ち入ることのできない区間に設置された錠のできる収納庫に保管するといった具体的な管理方法を検討します。
d 無断の複製・廃棄禁止、返却義務
無断複製・廃棄・目的外利用禁止は当然であるが、それを担保するための立ち入り検査条項を入れるのかといったことを検討します。
e 従業員との契約
従業員との間で特別に機密保持契約を締結するかどうかを検討します。
④適用除外事項
既に入手している情報、公開されている情報、周知の情報など機密保持の適用除外の項目について、具体的に明らかにしておく必要があります。
⑤機密保持の期間
いつまで機密保持義務を負うのかの検討です。2年、5年といった合理的な期間を定めましょう。
⑥損害発生時の賠償範囲と賠償金額の取決め
ソフトウエア会社の立場に立った場合には、従業員の故意・過失によって機密が漏洩したような場合などの責任を制限しておく必要があります。。
⑦協議事項
どうしてもあいまいな項目も残るので、協議条項を入れておくことが望ましいです。
以上、参考になりましたでしょうか。