法律の科目の中にある会社法。
設立、株式、機関、計算、組織再編など、会社の様々な手続きや決まり事が書かれてあります。
まずは会社は誰の為にあるのかという原則から話す為に『株式』から話しましょう。
株式って一般感覚だとお金のイメージ。
証券会社が一般に向かって売ってるから。
しかし株式はそれだけじゃない。法律が変われば言葉の意味は変わるもの。
会社法では株式は『会社での地位』を意味します。
だから株主は会社に対して一定の地位を持っている。
地位は更に言い換えたら『権利』になりましょうか。
この権利には最低保証されているものが3つある。
『配当金請求権』『清算金請求権』『議決権行使』
この3つをまとめて『共益権』と呼びます。
何故株主にこんな権利があるかというと、会社に金を出資したから。
だから会社は何をするにも株主のご機嫌を伺い、株主の考えに沿って運営していく義務がある。
何故なら、株主たちのお陰で会社が運営出来ているから。
これがそこらへんにある全ての株式会社の原則であり、会株式社のもつ顔の一面。だから株主には会社は頭が上がりません。
というわけで、会社は社長の思い通りに動いてるわけでもない。
社長は経営のプロとして会社(株主達)から委任された立場の人なのです。
要するに、「あなたに経営任せるから、儲けてくれよ!」と株主達は社長に委任します。
受任者である社長は委任者に従って動く義務があるます。(それが嫌なら最初から委任を断ればいいからね)
これで少し見えたかもしれないが、会社=株主といっても過言ではない。
むしろ大きくそう捉えた方がいいと言える。
よって今後会社という言葉は全て株主と脳内変換することにしようか。
これで会社と社長の関係がわかったね。
依頼者と受任者という関係。これは従業員とは異なるものであり、法的な場面で様々な意味が生まれるとても重要なこと。
まあそれは今はおいておこう。
社長は会社の代表であり、会社の意向に沿って運営する義務を負わされた者である。義務の内容は会社を儲けさせること。
何故儲けなければならないか?それは出資者である株主に配当金を配当するため。それが大半の株主望みだから。
だから社長達役員が会社の利益を第一に考えるのは当たり前なんやね。
だってそれが彼らの仕事であり義務なんやから。
会社というものが本来どういう中身なのかわかったと思う。
それが会社を理解するための『骨』となる知識。
あとは全て『肉』ということやね。
樹で言えば『幹』『枝葉』というわけだ。
次は会社はどうやって作られるのか?
答えは、会社は発起人によって設立される。
発起人とは普通は社長のことやね。
会社を運営したいって人は当然会社を起こそうとする。その人のことを発起人という。
じゃあ全ての発起人が会社を起こすだけの資金があるか?
まあ普通ない。
会社は0円で設立させることができる。
しかし実際に運営するのに0円では不可能。
じゃあどうする?
はい、ここで出てくるのが出資者やね。
こいつら経営の才能はないが金はある。
金は出してやるからその方法で運営して俺達を儲けさせろ、という委任契約を結ぶ。
だから社長は逆らえないんやね。
さあ、金は出来た。
設立手続きに入る。
会社は最終的には登記されることで本当の意味で効力を生じ会社として生まれる。何故わざわざ登記がいるのか…?好きに起こして勝手にさせてくれたらいいやん、ってなもんや。
しかしそうはいかない。
何故なら、会社には株主を始め、債権者や一般人などたくさんの人に関わる存在なんやね。そんなに社会的に影響の大きい存在が、もし簡単に何の保証もないまま運営出来たとしたら…?例えば、資本金1億あります。と、言ってたので出資したがほんとは破産間近の会社でした。なんてことになる。そんな会社に誰が出資するか?出資しても出資者は不安で仕方ない。
登記することで、大事な部分を公に公表出来る。
そうすることで、会社の状態がわかる。
これは会社にとっても資金を集め易くなるし、出資者もれを信用して出資出来るようになる。
会社に関わる全ての人を守る為に会社の状態というのは誰の目にもつく形にしておこう、という制度。それが登記やね。
というわけで、設立するには色んなルールが当然出てくる。
でも出来るだけ簡単に誰でも作れるようにしたいという法の考えもある。
なので制限の原則としては、『株主を害さなければ大体オッケー』となる。
なぜなら…はもうわかるよね。
会社には多くの人が関わる為、ルール作りは基本やね。会社の大原則となるルールを『定款』という。
まずはこの定款を作る作業からしなければならないね。
定款には最低決めなければならない項目が法律で決められている。
これが1つでも記載なければ設立取消、無効になる。『目的、本店所在地、発行可能株式総数、発起人の住所氏名、出資額またはその最低額』の5項目。
これが決まればこれに従って内容決めるだけ。
目的は言うまでもない。
どんな内容の業務をするか等を記載することになる。本店所在地はそのまま住所ね。
発行可能株式総数とは会社が発行出来る株式の総数をあらかじめ決めておかなければならないので定款に書かせるようにしている。
そうしないと、設立後に取締役達が好き放題株式を募集するようになる。
そうすると会社にお金が増えて株主得じゃん!って思いそう。
いやいや、その面ではそうかもしれないけど株主の権利はそれだけじゃない。
株主の権利には「議決権の行使」という権利がある。普通1株式につき1議決権。例えば株式総数1000株の会社のA株主は600株持ってたとする。
会社の路線を決定する大きな会議である株主総会。
これは原則過半数で決まる為Aさんが右といえば誰が何を言っても右になり、言わば会社はAさんの思うがまま。
ところが、取締役達が好きに株式を発行したらどうなるか…
上限なく募集した結果、株式総数が1万株になりました。するとAさんは600株しかないので大した株主じゃないよね。これでは株主は安心して運営を任せられない。または運営に指揮したくて株主になる人もいる。そんな人にとっては権利侵害も甚だしいよね。
だから定款で発行可能株式総数という上限を決める事にした。
出資額またはその最低額。これを決めるのは設立される会社にはどれぐらいの資金があるのかを公表するため。これによって出資者は安心して出資出来る。
最低額を決めるのはそれ以下だと設立を認めないとするため。
さて、ここでなぜ資本金ではないのか?という話がある。
資本金とは会社が持ってる大体の資力。
出資者はこの資本金を一つの目安に出資するかを決めたりする。
そして会社の金の増減によって資本金は当然変化する。
定款記載事項を変更する時は必ず株主総会で決定しなければならない。
じゃあ資本金が変わる度、株主を集めてたら色々大変。会社は社会の流れに対して機敏な対応をしなければならないのに、総会の集まりを待ってたら乗り遅れるかもしれない。
だからあえて会社法は定款から資本金の記載を除外してるんやね。
別に記載してもいいんやけど。そのかわり出資金かその最低額だけは記載を義務づけることで、必要限度で株主や債権者を保護しようとしたんやね。
法律は殆どの場面で、1つの権利のためじゃなく、2つ3つのぶつかる権利の公平を考えて規律されているというのも重要な視点なわけですね。