システムの作り逃げと「黙示の不良債権」

仕組みの作り逃げ。

これ、どこにでも当てはまるんですよ。

目次

  1. 家族/彼氏彼女/システム開発/政治それぞれのレベル
  2. 発案者に罪はあるのか?
  3. 黙示の不良債権

家族/彼氏彼女/システム開発/政治それぞれのレベル

■家族レベル

母/子「愛犬を飼って楽しく過ごそう!」
1年後
父(エサ代、散歩……飼いはじめより、長らく続く関係性が大事だってあれほど言うたのに……)

■カップルレベル

男性「はい、寝る前は絶対LINE送るようにしようね」
女性「いーよー」
3か月後
女性(結局おやすみLINEするのわたしばっかじゃん……)

■ビジネスレベル
システム制作やら運用保守やらの現場にかかわって人であれば、この一文を見るだけで一瞬で湧き上がるこの声よ。

システムの作り逃げ
「あー」

皆まで言うなと。

「初期開発でとりあえず動くシステムを作ってお金を貰い、あとの保守運用は発注者で頑張ってね」的なはなし。

■政治レベル

政治家「景気対策として1法人あたり10万円の雇用対策補助金と、500万円までの新規事業立ち上げ助成金支給制度を法案化する!」
5年後
官僚(法律だけ残ってるから財源ないのに補助金と助成金がどんどん支給されてるやん……。法律撤廃すると票減るし政治家自ら撤廃しようとせんし……)

発案者に罪はあるのか?

ケースバイケースなので必ずしもYESとは言わないけれど、将来を考えないで発案して、仕組みを作るだけ作って、あとのお守は将来の人が見ざるをえないという残念な構図はそこかしこに見受けられる訳です。

母/子の例では、将来をイメージできず飼いはじめのワクワク感だけ先取りして、後の面倒は父に押し付けている感じ。

彼氏彼女の例では、愛を育みたいのか、自己の承認欲求を満たしたいのか、束縛したいのか。コミュニケーションをルール化する悦びだけ得て、ルールを守るコストを彼女に押し付けている感じ。

システム開発の例では、初期開発でお金だけもらってバイバーイって言うSIer。運用めっちゃ大変、バグだらけ。みたいな。発注者が運用費ケチって初期費用だけで開発させたってことも多いからケースごとにどちらに過失があるかはよくよく観察する必要があるけれど、これもよく聞く話。

この記事なんかまさにそう。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00205/032300028/

政治家の例では、その時の国民の声を反映して票を得るメリットを享受して、将来の事には責任を持たない感じ。これについては任期が衆議院で4年、参議院で6年なんでそもそもの制度上そうなって然るべきなのかもしれないけれど。

黙示の不良債権

なんだろうな。

作るだけ作って、保守運用がとにかく大変で困っている例やら、問題が顕在化していなくていつぶっ壊れてもおかしくない物事ってのは世の中のそこかしこに隠れている。それは家族レベルでも、カップルレベルでも、ビジネスレベルでも、政治レベルでもどこでもかしこでも。

おそらくいろいろな表現方法があるのだろうけれど、わたしはそれを「黙示の不良債権」って呼んでいる。

明らかになっていない負債であって、お守をする人がお手上げになったら不良債権化しちゃうんでね。

その、発案者の横暴によって立ち上げられた仕組みが何とか回っているのは、周りの善意やらちょっとした無理、将来の人々による支えありきだったりするわけです。

そんな仕組みしらんがな。

周りの善意や、将来の人々がそう言い出したら、おしまい。

誰もペイできない。焦げ付いてしまう。

仕組みの「作り逃げ」によって、黙示の不良債権がそこかしこにいっぱいありませんかね。ちょっと目を向けるとそこかしこ。

あ、黙示。あ、黙示!あ!不良債権!!

ってなりますから。

注意して観察してみると人間関係、会社の仕組み、国の仕組みの見え方にエッセンスが加わりますよってに。