村上春樹の「羊をめぐる冒険」での一節。
これはもう初めて読んだ10代の頃から、ずっとずっと頭に残っている。
歌謡曲なんかで、美味しい歌詞の部分は終わって最後のメロディーのところが流れている感じ。
その良いところはもう終わったし、もう聞き飛ばしてもいいし。
でも曲の最後までメロディーは流れ続けている。
もっと言うと、我々はなんだかんだ青春みたいなものが終わった後も、
人生の最後までメロディーを奏でなければならん、と。
そういう人生観ですね。
「あー、青春って終わったんだなー」って実感するには人それぞれに時期がある。
10代後半、20代、30代。いやいや人によってもまだ40代・50代で「私の青春はまだおわってない!」っていう人もいるかもしれない。まぁ、そういうこと言っている訳ではないんですが。
その「あー、青春って終わったんだなー」っていう、あの、無敵感であったり、高校時代の物事を知らないが故に惚れた腫れたを人生の最優先項目に持ってこれたり、不必要に苛立ったり、心行くまで遊び、いやいやながら勉強を浪費と誤認し、生へ感謝をないがしろにできた時期の終了を感じた時期ね。
そのあたりに何度も何度も頭に浮かんできたんですよ。
「歌はもう終わった。しかしメロディーは鳴り響いている」
青春が終わったら人生は消化試合なんだろうかって。
青春時代に感銘を受けた一節って、ある種自身の価値観、世界感として根付いているもんだから、そんな風に思わざる得なかったんですよね。一時期。
これはもう、ある種の呪いみたいなもんで。
すぐ解けましたけどね、その呪いは。
人生長いですから。
まだもうしばらく、歌えばいいだけのことなので。