2021年3月16日東京地裁で同性との不倫も「不貞行為」って判決が出たらしい。
地方裁なので控訴されたりしたら今後どうなるかわからないけれど。
記事はこんな感じ<独自>同性との不倫も「不貞行為」 妻の相手に賠償命令
今のところは、同性相手との不倫は法律上の不貞行為には該当しないとの見解が有力らしいので、この判決はまだまだ珍しい。
上記の記事を見ながらちょっと調べてみると,もっと踏み込んだ判決もあった。
同性の内縁関係(結婚はしていないけれど事実婚状態であった)の一方が不貞行為を働いて,関係が破綻した場合慰謝料請求ができるかという裁判で,下級審で慰謝料請求を認めている。
産経の記事にも書いてあったけれど,最近ではこういった性別に関わらずその実態を鑑みた判決が増えている。過去の判決では,男女で婚姻関係にあった二人の旦那の方が男性を付きまとうようになって,女性方が民法770条第五項に基づいて離婚請求をしたって事例があがっていた(名古屋地判昭和47年2月29日判時670号77頁)。当時は同性愛が原因で婚姻関係が破綻した場合は,一号ではなくて,五号を事由にしていたんだなって。時代の流れを感じられるのが今回のポイント。
民法 第770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
ちなみに,裁判上の離婚請求に関する根拠条文は上記で,慰謝料請求に関する根拠条文は,以下ふたつ。
民法 第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
不貞の定義は法解釈,判例,社会通念その他もろもろなかなかに難しくあるけれど,不倫相手が同性であろうと異性であろうと,婚姻関係を破綻あるいは権利又は法律上保護される利益を侵害したならば,損害賠償請求の対象になるってのは至極まっとうな判断だとは思う。